整えて祈る人

 

職業を選べたらインテリア関連の仕事がしたかったな、

とよく人に話します。

 

転勤や引っ越しで住まいが変わるたび

住まいの近くに緑はあるか

川や湖や海があるか

 

部屋の中は

賃貸なら戻せるような壁紙か板を使い

小屋の居心地をいつもイメージし

足を置く場所をまずは整える、という強迫観念に似たものを

若い頃は持っていた

 

***

  

引き寄せ合うように

インテリア好きな方々と沢山の出会いがあった。

その中でも師匠と思っている

出会った時、80代だったその方は

今ならサ高住のような所でお住まいだった

 

トイレもお風呂も備え付けの小さなキッチンも

どの部屋も同じようなモノ

 

きれいにして下さるのもプロのお仕事なので

部屋は清潔感にあふれていて

 

ご本人のポツンと座っておられる孤独感が

こちらにも迫ってくるような空間

 

ところが部屋で数分過ごしたら

ご本人の人柄だけではなく、何かがあったくて

不思議で、なんだろう・・・なんだろう、と・・・

 

珈琲を飲まれたあと、

ベット脇の小さなテーブルの上を

震える指できれいに拭き始めた。

取ったあとのティッシュの小箱をきちんと指で整えて

さらにもう一枚で写真を拭いて・・・

 

私ね

もうここしか掃除できないの

 

お部屋をきれいにするのがお好きなのですか

と、尋ねると

アルバムが棚にあるから、もし良かったらと

見ますか、と

 

想像を超えたかっこいい写真が目に飛び込んできた

広くてきれいな畳間

黒光りする床と絶景の庭

凛とした着物姿の美女

 

写真に引き込まれて時間が気になるか、と内心焦ったが

 

点と点

線が絵になり鳥瞰図になり

立ち上がって迫り、きれいに着地するような

生きてきた道のりを教えてくださるような

ただ一冊のアルバム

 

見るのに要した時間は数分

二度見たが、足しても数分

ベットのサイドテーブルへ伸びた手のしぐさから

小気味いい、

整理整頓や清潔さへの誠実さみたいな感覚が湧いたことの意味が

なんとなくわかった気がした。

 

老いているのに悲しくない

 

若者を誘い教える時間がわずか数分

与えうるものを与え切る美しさ

さっぱりして欲がない

 

***

 

聖書でレビ人は幕屋が移動する時も

祈りに関わる道具の管理、セッティングを任された、とある

 

神の前に祈りの際に使う道具や配置を

心を込めて生涯の仕事として、誠心誠意仕えていたとある。

 

神さんに仕える家の性分

 

その方が教えてくださったことが

聖書を知って、ますます腑に落ちた

 

インテリアコーディネーターになり損ねただけでなく、

部屋もなかなかカッコイイ暮らしまでいけず、

グタグタと過行く日々と格闘し、

洗練された域、憧れの域はほど遠く・・・

 

最後の最後は

出会ったその方を見習いたい、と今も思います。

 

 

 

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