• 思い出
生きよ、父が鳴いて知らせる夜

 

(過去記事)

 

もう20数年も前の話、

父の通夜の日

 

庭の門の近くで兄が椅子に座っていた。

私が近づくと、交代しよう、と椅子から立ち上がった。

 

忙しい、と

いう私に、

いいから座ってごらん、親父が来ているから、と

 

椅子に座ると、木の枝にフクロウが見えた。

我が家の大きな木に前から棲みついているふくろう。

人の気配にすぐ飛びたってしまう慎重なはずのふくろうがじぃと動かずに

こちらを見据えている。

 

15分ほど椅子に座って、

「ありがとう、お父さん」

というと、飛び立っていつもの所へ戻っていった。

 

今回、空き家掃除の雨の日の疲れた日

ココロ、クッククロ・・・

久しぶりに鳴き声を聞いた。それもずうと鳴いている。

 

なあに、お父さん?

あまりにも静寂な夜に鳴き響くので、お父さん、なんですか?

と茶化すように、ふくろうの住まいの木の近くの部屋まで行くか、と寝床から起き上がった。

寝入る間際で聞こえたふくろうの鳴声に、お通夜の時を思い出したので、はいはい、と奥のその部屋へ入っていった。

 

なんと昼間大掃除でその部屋を片づけたあと、窓もドアも全開にしたまま、泥棒さん、いらっしゃい

で、そのまま寝入るところだったのだ。

もちろん、そういうことは初めてのこと。

ドキドキと鍵を全部かけ、カーテンを閉め、寝床に戻り、

ありがとう、お父さん、というと、鳴き声はピタリとやんだ。

 

奇跡が起こった、というのはこの話ではなく、

まだまだこれは序の口でした。

 

天国とつながっているのか、この島は。

ここは真下なのか、不思議な体験ばかりが続いていくのです。

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