天国ってきっとこんな感じなのだろう

 

 

(過去記事より)

 

旅の途中、お世話になったお宅で

いつも料理を頑張っているお母さんにつかの間の休憩を、

そしてちびっこたちや、

お父さんやお兄ちゃんやお姉ちゃんたちにも喜んでもらおうと、

その家の中堅、料理のプロを目指す高校生女子をアシスタントとして指名し、

大家族の夕飯づくりに挑ませてと申し出た。

 

 

 

OKが出たので、さっそく善は急げ、と話が決まるとすぐに、

お兄ちゃんと幼稚園生の弟とを伴い、

私と子供の5人で買い出しへ向かった。

 

料理はまずは素材選びからだよね、と

 

おばちゃんは、手抜き料理・時短料理しかできないので

プロを目指す人が見習う相手じゃないと思う

 

お母さんを休ませたい

ピンチヒッター(古い)で、私がつくります、という時の参考に

なるのなら、とあれこれ言い訳しながら、結局自分が作りなれている

いくらなんでも・・・という、鍋にした。

スープは売っているのから選ばせて、好きなものなら文句は出まい・・・

そして牛丼とサラダをつくることにした。

 

大人はずるい

 

 

お肉は奮発した。

素材がよければ腕なんぞほぼほぼ影響しない。

女子高生にまだまだ見抜けるわけがない。

 

時短のうんちくを説明しながら鍋の材料を切ってもらう。

スープに入れるだけだが、時短のコツもそれらしく教えていく。

買ってきて入れてるだけやん、と高校生はけして言わない。

牛丼、玉ねぎ、にんにく、肉と炒めるだけ・・・

 

「はい、はい」

と授業中のような清々しい返事にこころ洗われながら

アシスタントはお兄ちゃんにしてもらい、

ちびっ子たちは子供に手裏剣折りを教えてもらい夢中にさせて

心配するお母さんは立ち入り禁止にして、

楽しい時間はあっという間に過ぎ、

 

子供にうけるワケない鍋も牛丼も自己満足で提供して

用意してくれた場所でくつろいでいると、コンコンとノックがする。

お兄ちゃんが、「妹がお礼にくるみパンを焼いたので」と持ってきた。

 

嘘でしょう?

めちゃ美味しい。

初めて焼いたというくるみパン。

クオリティの高さに、いや、本当に申し訳ないことをしてしまった。

世の中のあざとさも勉強しておかないとね、とアハハとお礼を伝えた。

プロを目指す人、相手に本当に申し訳ない、謝っていたと伝えてね、と。

 

そしてその夜

女子だけを集めてちょっとした塾と称して結婚や恋愛などの話をした。

細胞は型を覚える、と

何故、大事な将来面倒みてくれる確実な男性・夫というものにだけ

性生活をゆだねるのかを、マシンガントークで話すこと、2時間

 

一期一会になりそうなこのご時世

けっこう全力投球で話した。

 

こういう変なおばちゃんの話を真に受けて聞いてくれてありがとう

と、半分反省しながらその日は熟睡した。

 

朝、起きたら、えらくうけていたとお父さんから教えていただいた。

 

料理の時短のコツも面白かったと喜んでいたというので、

東京に戻った今もホームシックが止まらない。

また同じようにおもてなしを受けたい、図々しさがやっぱり止まらない。

 

天国にいる時間ってたぶんあの時間のようなのだと思う。

幸せって、あの時間のことをいうのだと思う。

 

会いたい。

あそこに居たい。

 

 

 

グダグダになりそうな自分を、頑張れ、あそこへ行くんだ、

と励ますために書いてみました。

 

***

 

追記

そのあとコロナ流行のさなか、家族全員がコロナでダウンするなか、シェフを目指すJKは、一人感染せず、家族全員の食事を一人で作り切り、お母さんが回復するのを待って感染しダウンしたと聞いた。それでも3日で回復し、とても助けられたとお母さんは喜んで報告して下さった。

きっとすばらしいシェフになるのだと思う。カッコいい。

 

頑張れ、子供たち。

会いたいなあ。

 

 

 

 

 

 

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