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- 子育て・教育
小学校1年生、入学して間もない頃、
うちの子の話ですが
支援学校の生徒6人のクラスで副担任になったばかりの熱血先生が
ある日、うちの子が機嫌が悪く乱暴に何かを扱ったのを、ここは教育だ、
と、「ごめんなさい」 を教えようと考えたそうです。
こういう時は、友達にも先生にも、「ごめんなさい」 と
頭を下げて、言葉もきちんと教えて、時間がかかってもマスターさせようと決断。
ところが何度促しても、うちの子は、
「ぐ・ぐ・ぐっ」
ごめんなさい、が出ません。
ごめんなさい、を言うまで、先生も口きかない、とかいう流れになって
先生の並々ならぬ熱意、深い愛、この子の将来への期待などを面談で説明を受け、
私も、その熱意に胸が熱くなり、「ありがとうございます、先生」と手を取り合い、
担任のN先生と三人で、ワンチームになることを誓い、ごめんなさい、を聞くまで、これはいわば戦いです、と本腰を入れようということになりました。
3日後、
副担任のT先生に呼ばれていくと、
本の端をめくると子供がペコリとしている絵になるようなものをパラパラと見せながら、しょぼんとした顔で、もうやめたい、と。
うちの子供が教室に入ってくるなり、
「もういいですか。お母さん、話しても」
と私にいい、
つらい、話できないのは辛い、もう2日間は頑張った、もういいですよね、と
言い出したのそっちじゃないですか。ごめんなさい、は人として基本中の基本の言葉、これだけ使えれば生きていけるって、
「Tしぇんしぇ、あちたね、もうかえるね」と、挨拶に来たうちの子の、体無理しないでねという仕草らしいが、その合図を見るなり、めくり絵もそっちのけで駆けつけて行ってハグ
「話しないの先生、つらいよ」
「うん、わかってる」 とぷーさん、片手に抱っこしているうちの子
「明日も頑張ろうな」
「うん」
「あのう、でもいちおう、ごめんなさい、は言ってみようか。ごめんなさい、はい、一緒に、ごめんなさい」
と、私が声をかけると、
「ぐ・ぐ・ぐ・・・」 はあ、とぷーさん人形落としてしまった。
「いいよ、そっちで待ってていいよ」 待合室へ逃がしてしまうT先生。
「T先生」
子供が教室の外へ出たあと、
「お母さんは一生つきあっていくでしょう。親だから。生涯かけて教育できる時間が無限大にある。羨ましい限りですよ。これは親の仕事。僕は、ムリです。嫌われるのつらい。2日間話しないって、死にそうだったんですから。僕がね、暑い中、バケツの水運んでいたら、えらいねえ、と言ってくれたんですよ。ぼくのこの絵、いっちばんほめてくれるんですよ。親がやればいいじゃないですか。あの子、じぇーたい謝らない人、相当強いと僕踏んでます。お母さんは、生涯かけて続き、ぐ・ぐ・ぐの続き、よろしくお願いしますね。
***
あれからそうとうな歳月が流れ
今日、この人に、逃亡されました。
どうしても行きたくない、という土曜日のイベントを少々だまし討ちのような形で連れて行ったら、盛り上がっている親を置いていなくなりました。
スタッフさんや懐かしい子たちとイベントの楽しさに、お母ちゃんノリノリでいたら、トイレに行くといってそのままいなくなり、
車で2時間探し回ってようやく家に帰っているから、と家族からの電話で帰宅して合流。
心臓のドキドキを収める薬を飲んで休んで、
2時間たった頃、
部屋に入っていき、泣いて、心配したんだから、怖いことになったらと思ったら母ちゃん、心臓が痛い、もう死にそうだよ。どこにも行かんでね。いっつも一緒だよ
と大げさにハグしたら、
頭なでてきて
「ムリはムリだからさあ、音とか怖いんだよね。わかればいいって、もう」
ええ、嘘でしょう。
ここで、ふつう謝るんじゃないですか?
それで家族に、お母ちゃんが体調も悪いのにどれだけ今日あなたを探し回ったか
心配かけることをしたことはまず謝ろう、という流れをつけてもらって、
またヨタヨタと小芝居も入れながら部屋に入っていたら
おいで、と私を手招きし、ハグ。
「ぐみんなさい、はい、はい」 と蚊がないた、というような声のようなぐ・ぐ・
が聞こえた。
聞きましたか。
T先生、聞こえましたか。
言いましたよ。
たしかに、ぐみんなさい、と言いましたよ。
奥歯かみしめたまま、でしたけど、確かにいいました。
母はやりました。
体張って、おっそろしく強情なぐわんこモノについに、ついにです。
T先生、ありがとうです。
ぐわんこものが縁でお嫁さんになってくださったN先生へも、伝えてくださいね。
たくさんの方々の愛のリレー教育で、この子は、ぐみんなさいが言えましたよって
親も知らない子供の癖や苦手を先生やスタッフさんが丁寧によりそって、生きる力を育てていただいて、心から感謝です。
でも、なじぇ、謝りたくないんだろう・・・